十数年前、新婚旅行でイギリスに行きました。その際、公園での風景などをスケッチして帰ってきたのは、今でも良い記念です。
我ながらずいぶんマメなことをしたものだなあと思いますが、きっかけをくれたのは、たまたま旅行前に購入した永沢まことさんの本でした。
目の前の風景をペン画でなぞる
当時、カメラはもちろん持っていたのですが、今ほど撮影することに燃えておらず。
むしろ、歩いている途中でいちいちカメラを出すのがおっくうでした。
もしスケッチを描いていなかったら、数枚の写真しか新婚旅行の記録が残らないところ。描いておいてよかったー!
そんな恩ある永沢まことさんの都市画展が、8/30(日)まで武蔵野市立吉祥寺美術館で開催されていました。
そりゃもー、絶対に行かなきゃでーっす!
永沢まことさんは、目の前の風景をしっかり見つめながらペンで描いていきます。
なのでリアルな空気がとても伝わってくるのですが、「見たまま描いた」だけではありません。
ほどよく省略された線や、人物の愛嬌ある表情から、描いていた時のワクワクとした感情が伝わってきます。
で、見ているこちらまで、その場にいるような感覚になります。
過去にアニメーターのお仕事をされていたせいか、色づかいに親しみやすさを覚えます。
そしてなにより好きなのが、永沢まことさんがペンで描かれる線!
スケッチなのでサササッと描かれていますが、それによってものすごく動きが出ます。
たまらなく躍動感があります。
日常の風景を切り取ったスケッチですが、描かれた時の空気のにおいや、人混みのザワザワとした音が聞こえてきます。
都市画展ということで、新宿や渋谷そして今回の美術館がある吉祥寺など日本の風景はもちろん、ニューヨークなど外国を描いた作品もあり、ちょっとした旅行気分を味わうことができました。
一緒に行った小3ピョコも「うわーっ!」と1つ1つ丁寧に見てまわっていました。
特に見たまま細かく描かれた、人の持ち物や、背景のビルの看板などに興味津々だったようです。楽しんでもらえて行けてよかった♪
武蔵野市立吉祥寺美術館
武蔵野市立吉祥寺美術館は、コピス吉祥寺A館7階にあります。
なんと大人100円で入れちゃいますし、小学生以下は無料。
すごいですよね~っ!こういう値段設定だと、美術が身近になります。
子どもも頻繁に連れていくことができますね。
そういえば、2011年の1月頃に『100かいだてのいえ』のひみつ 岩井俊雄が子どもたちと作る絵本と遊びの世界展へ子どもたちと行きました。
絵本の原画はもちろんですが、岩井さんがお子さんと作ったという手作りおもちゃも素晴らしかったです。
チビ太たちと感動して、思わず2回も行ってしまいました。
高額な入館料なら2回なんてとても無理。本当にありがたい値段設定です。
お土産、買いました
さて、永沢まことさんに戻ります。永沢さんの作品に触れると、どうにも絵が描きたくなります。
そんな時にお土産コーナーで見てしまったのが8Bの鉛筆と、ねり消しゴム。
「8Bなんてはじめて見たっ!」と大興奮して思わず買ってしまいました。
黒い鉛筆は通常の鉛筆、そして木のままの鉛筆が8Bです。
こんなに太いけど、重さを感じません。サラサラと紙との馴染みがとても良いです。
ああ、気持ちいい。
そして、ねり消しも好きなんです。画材道具を見るとつい欲しくなってしまうんですよね。
横にあった絵具やスケッチブックにも手を伸ばしましたが、お財布やピョコと相談して我慢しました^^;グギーッ!
左にあるのは友人へのポストカード。東京タワーから下を見下ろした構図が、ピョコのお気に入りです。
そして、お土産の下にあるグレーの袋はお土産が入っていたもの。
Kichijoji Art Museumの文字デザインが永沢まことさんのものだそうです。
知りませんでしたっ!
永沢まことさんご本人がいらっしゃいました
なんということでしょう!
作品を見終わってロビーに出たところ、なんと永沢まことさんご本人が!お客さんたちと一緒に写真を撮っていらっしゃいました。
「うにゃーッ!!!」小さく奇声を発して喜んだものの、小心者なので「サイン」「一緒に写真」など言えず、隅から眺めるだけで終わりました。
「ママー、お願いしてみなよ」と横でピョコが何度も応援してくれていましたが。
落ちついて考えてみれば、サイン会だったし、美術展にわざわざいらしたのだから、お願いして良かったんですよね。
は~っ(ため息)。
でも、同じ空間にいることができただけでしあわせです。
シャツの柄とかガッツリ見てたので、しっかり記憶しました!←ただの変な人。
スケッチの楽しさを教えてくれました
都市画展から帰って、十数年前に購入した永沢まことさんの本「旅でスケッチしませんか」を本棚から出しました。
写真ではわかりにくいと思いますが、だいぶ黄色みがかってきてしまっています。
絵がいっぱいだと思っていたのに、久しぶりに本を開いてみると、字の方が多くて驚きました。
たまにカラーページがあり、絵が載っていますが、基本はこんな感じで白黒。
スケッチをおすすめする本なのに、ほとんど文章って、今考えると不思議です。
でも、この本からの刺激でスケッチをいっぱい描きました。
絵はもちろんですが永沢さんは文章もとてもお上手で、読んでいると外に出てスケッチしたくなります。
スケッチの楽しさや方法そして道具などの紹介にあわせて、旅行記でもあるからです。
この本の影響力はかなり大きかったんだと、今さらながら思います。
なにしろ子どもの頃から描いているところを見られるのがニガテだった私が、イギリスの公園で周りの人を見ながらスケッチしたなんて。
外国だったから描けたというのもありますが、これを機に心の中のなにかが溶けた気がしました。
まとめ
子どもたちが大きくなって家にいることが多い夏休みでしたが、永沢まこと都市画展のおかげで、体も心もお出かけできました。
久しぶりの美術展の空気は美味しくて、さらに「やっぱりお絵かきっていいなあ」と大満足。
久しぶりに画材を持って紙に向かってみたくなりました。
子どもたちと一緒に、なにか描いてみようかな。
▼7月に新刊が出ています。こちらはカラーページや絵がいっぱい。スケッチブック持ってお出かけしたくなりますよ^^